プロ野球がセ・パ同時開幕し、ゴルフも女子に続き男子もようやくスタート。昨年は震災直後のあわただしい中での開幕で、プロ野球も色々ごたごたしていたことを思い出します。また今年はロンドンオリンピックに向けて選考会が繰り広げられていて、随分とスポーツ界がにぎやかになってきました。なんだか気持ちがうきうきしてきます。
さてスポーツの話題とは全く違うのですが、先日、日本共産党が主催する「経済問題講演・懇談会」が浦和で行われたので参加して、小池晃政策委員長の話を聞いてきました。
小池さんは、2月に日本共産党から発表された「社会保障充実、財政危機打開の提言」を作成した際の責任者ということです。「社会保障を充実するためには消費税増税やむなし」と主張する政府やマスコミの論調の問題点を漫談風に分かりやすく説明しながら、消費税増税に代わる日本共産党の対案を「提言」にそって解説されていました。
最近の各種世論調査を見ると、民主党政権だけでなく圧倒的なマスコミが「消費税増税やむなし」のキャンペーンを張りながらも、それでも50%超が増税に反対するという調査結果が示されています。
小池さんの話の中で、そうした世論の下、マスコミにおいてさえ社説では「消費税を増税するしかない」という主張をしている一方で、新聞紙面にある記事の中では「今の経済情勢で消費税を増税することに危惧する」といった記事を掲載する状況が多々あるということでした。
日経新聞(4/8)を読んでいると、こんな記事がありました。「けいざい解読」というコラム記事ですが、「日本のデフレ、長期化の原因は」「雇用維持で賃金抑制圧力」というものです。「日本のデフレはしつこい。もはや10年越しの現象である。」「その底流にあるのは慢性的な需要不足だ。」「こんな低温状態がおよそ20年も続いている国は見当たらない。」「日本の企業が雇用を守るため、賃下げで不況に対処してきたのは間違いない。」「賃金の低下がデフレに重要な役割を演じたという論拠の一つになり得る。」そして最後に「デフレの主因を特定するのは何年たっても困難だろう。だが金融緩和に頼るだけでなく、賃金の底上げを含めた成長戦略も必要なのは明らかだ。脱デフレは政府・日銀の共同作業であることを忘れてはならない。」と締めています。
直接的に消費税の問題を論じているわけではないですが、日経新聞の記事として労働者の賃金が下がり可処分所得が減ってきていることが、今日のデフレ不況を長期化させている原因の一つとして、本来の「成長戦略」となる賃上げの必要を言っているのは面白い。
消費税の税率アップは、まさにこの最終消費者である労働者の可処分所得を下げるものに他ならないものです。あたり前の事ですが5%の消費税率アップは、その分の可処分所得が減少することを意味します。
また朝日新聞(4/12)の「教えて!消費税 所得税はお金持ちを優遇?」という記事では、もっとストレートな指摘がされています。「消費税、法人税と並んで『基幹三税』と言われる所得税をみると、政府の増税路線の『ゆがみ』が見える。」「この30年ほどはお金持ちの税負担が軽くなるような減税が繰り返されてきた。」「税負担率は、所得が1億円までは上がっていくが、1億円を超えると下がる。」「消費税は、低所得者ほど負担感が強い『逆進性』がある。この消費税を上げる前に、まず高所得者の所得増税を進めなければ、税の不公平感は高まるばかりだ。」
今回の共産党の「提言」の中に、1997年に消費税率が3%から5%にアップした際の税収の推移として、財務省と総務省の統計資料にもとづく1996年と2010年を比較したグラフがあります。それをみると1996年に90.3兆円あった税収が2010年には76.2兆円に減少しています。しかし税収の内訳を見ると、消費税が7.6兆円から12.7兆円と、まさに3%が5%に増えた割合で増加している一方で、法人三税は23.3兆円が14.8兆円に、所得税・住民税は28兆円が24.5兆円にそれぞれ減少しています。
確かに消費税が安定的な財源として、税率アップ分の増収になっていることが分かりますが、法人税等の減税で税収総額としては減少していることを見ると、多くの中小零細企業が実態として赤字である状況を鑑みるに、まさに大企業や大資産家の減税による巨額の税収減、消費税による置き換えという構図が明白になっています。
今回の「社会保障と税の一体改革」にある消費税の5%増税分は13.5兆円になるということですが、国会での政府答弁によると、そのうち社会保障にまわる分は、実は1%分の2.7兆円ということで、残りの4兆円は既存の社会保障の財源が消費税に置き換わるということです。要するに今回も法人税でまかなわれていた財源が消費税に置き換わり、その分は法人税減税を行い大企業に留保するという図式のようです。
しかも「充実」されるはずの社会保障は、年金の給付減、子ども手当の削減、医療費の負担増、介護利用料の負担増、更に年金の支給開始年齢の引き上げ等々、「社会保障の充実」とは全く正反対のメニューが目白押しです。
消費税率を5%アップするという法案に野田首相は「政治生命をかける」と言っています。民主党、自民党、みんなの党をはじめ、多くの政党は基本的には消費税増税に賛成です。今は次の解散総選挙を意識して様々な政党が「消費税増税反対」についてもそれぞれの主張を展開していますが、その中にあって具体的な財源論を含めた根本的な対案を示しているのは日本共産党だけのようです。
小池さんは、消費税を増税するなら国会議員の定数も削減するべきという論調に対して、みのもんた氏のテレビ番組に出演し、削減数について聞かれた際に「450人」と答えたそうです。驚いたみのさんに「政党助成金を全廃すれば、すぐに国会議員450人削減に匹敵する財源がでてくる」と説明して大いに共感を得たと言う話をされていました。そういう意味では、本当に「事業仕分け」が相手に出来なかったところにも「簡単に解決できる」沢山の「ムダ」があることが分かります。
本当に日本の経済を元気にするには、また少子高齢化社会を支える社会保障の財源として消費税を倍増するしかないのか、まさに今、日本の経済や社会保障の将来を左右する重大な岐路にあるのだろうと思います。23年前、消費税を導入した時に「小さく生んで大きく育てる」ということが言われていました。
消費税は、物やサービスの提供時に価格に上乗せできなくても、課税事業者は消費税を受け取っている(含まれている)ものとして計算されてしまいます。元請との力関係や市場における大手との競争の中で、消費税を価格に転嫁できない事例はそれこそ数え切れません。それは本来、消費税という税を課税する前提が成立していないにもかかわらず課税が強行されると言う意味で、まさに「酷税」といわなければならないもので、決して「大きく育てて」行ってはいけないものではないかと思います。
中小企業の税や経営にかかわるものとして、今ほど私たちが政治の動向に敏感にならなければならない時はないのではないかと思います。税制における民主主義とは何なのか、事務所の中でも大いに学習し議論していければと思っています。