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第15回ぐる〜ぷ1総会・記念講演

大宮パレスホテル(2004年6月23日)

あなたのまちにあなたの会社は必要ですか

〜地産地消と共育の経営〜

有限会社ひびき 代表取締役社長 日疋好春 氏

創業から約十四年、悪戦苦闘の中で会社は地域と共にあることを実感。アメリカ型のキャピタルゲイン経営を否定し、会社は誰のものかを問い続ける。「仕事はお客様の為にあり従業員と共に栄える」と。正直な商い正しい経営の思いだけで経営が成り立つのか、自らに問いかけながら経営者として挑戦し続ける。


  第一経営相談所とぐる〜ぷ1共催の「第15回ぐる〜ぷ1定期総会」が6月23日、パレスホテル大宮で行われました。
有限会社ひびき・日疋好春さんは「あなたのまちにあなたの会社は必要ですか〜地産地消と共育の経営〜」と題して1時間にわたって講演を行いました。講演の要旨をご紹介します。

お金を稼ぐ為にはじめた会社経営

 皆様、こんにちわ。川越で焼き鳥屋「有限会社ひびき」を経営させていただいております、日疋好春と申します。私は初めから埼玉・川越に根ざした焼き鳥屋をしていたわけではありませんでした。二十歳になるかならないかの頃に、家庭の事情によりお金を稼ぐ為に会社経営を始めました。当時はバブルの絶頂であり、広告業をする傍ら、チェーン店のフランチャイズなどで飲食店をいくつか経営していました。しかし会社経営といえば、従業員やお店の環境などはないがしろであり、月々の営業成績のみを重視したものでした。飲食業の年商は一億円を超えていましたが、帳簿はめちゃくちゃ、社内の管理もままならない状態だったのです。

 今の焼き鳥屋を始めるきっかけになったのは、自分の広告業で担当したある物産展でした。キャンセルの出た空きブースに、私の地元でよく食べられていた味噌ダレの焼き鳥を売ったのです。それまで仕事で川越や浦和に出向くと、焼き鳥屋が目に付くことが多かったのですが、味噌ダレで食べているところを見たことがなかった為、新しい目物として売ってみたところ、なかなかの評判になりました。

駐車場からのスタート

 ある年の瀬、川越クレアボードという商店街の組合から仕事の依頼があり、顔を出したときのことです。「物産展でやった焼き鳥がおいしかった。」「またやらないのか。」という話が上がりました。組合の方のお店の駐車場を借りて、土日限定の焼き鳥屋をやることになりました。テントに焼き鳥の機械だけ、といった簡単な店構えで、アルバイトと二人で始めました。それまで飲食店は経営していましたが、自ら店頭に立って、お客と接する事はありませんでした。広告業では、粗利や売上をいくらにするかは、相手によって交渉次第で決めていました。けれども、焼き鳥屋では、一本いくらの定額制で、客が気に入ってくれれば、買う。そうでなければ買わない、というハッキリしたものでした。そこでの接客を通して、客を信用しないと、焼き鳥が売れないのだという事が分かりました。

商工会議所に助けられて

 焼き鳥屋は、お金がない中での出発もあり、資金繰りは大変厳しいものでした。ただ、商工会議所などの勉強会に参加する中で心に残った「倒産するなら前を向いて倒れよう」という言葉が常に胸にあり、うしろ指を指されるようなことだけはしないと、心がけていました。どうしようもなくなり、川越の商工会議所に相談に行ったところ、経営指導員の方が親身になって相談に乗ってくれて、国民金融公庫から借入が出来る事になりました。私は指導員の方に「どうして私の相談に乗ってくれたのか。」と尋ねたところ、「商工会議所での活動、それに商売への姿勢を見ていれば、自然と力になりたい気持ちが湧いてきた。」と教えられました。このことをきっかけに、私は、地域の人々に助けられていることを感じるようになりました。焼き鳥屋も自分の会社だけではなく、買いにきてくれるお客様がいて初めて成り立つ、川越の地元の人々のものなのだと思いました。またそんな川越に恩返しをしよう、多くの人々の助けによって普通に生活・会社の経営ができる喜びをありがたく感じたのです。

地域に根ざした店作り

 今でこそ「味噌ダレ」、「地産地消」などのうたい文句が付いていますが、私が埼玉・地元に根ざした店作りをしようという思いを強く持ったのは、商工会議所の一件だけではありませんでした。テントの焼き鳥屋から、店舗へとお店を移したときの事です。木材や配管など資材はすべて地域のお店から調達をして造りました。新しい店になってからしばらくして、年配の女性の方から「私の息子は川越で大工をしています。あなたが地元の業者を使ってくれたお陰で、息子は仕事を失わずにつながりました。」と言われました。よくよく考えて見ると、私の焼き鳥屋の領収書は、地元のお店がとても多いのです。もし近くに工務店、鳥肉の卸業者がなければ、私はわざわ川越から離れた所まで電車賃やガソリン代をかけて、仕事を頼みにいかなくてはなりません。近くにあるからこそ、何かあってもすぐに対応ができ、そこで暮らす人が増え、商店街なども活気が出るのです。逆に言えば、地域でお互いに仕事やお金を回していかないと、結局は自分の首をしめる事になると実感しました。店構えだけで終わりにせず、焼き鳥を焼く機械、食材すべてを埼玉産でいこう、地元のものを使おうと思いました。現在、鶏肉は提携している養鶏場から、機械のねじの一本にいたるまで埼玉の業者から調達しています。鹿児島の黒豚もいいけれど、名古屋コーチンもやっぱりおいしいけれど、埼玉といったら「地元の鶏肉を使った味噌ダレ焼き鳥」と言われるようになればと思っています。また、大阪では一家に一台たこ焼き機があるのと同じように、埼玉の家庭にも焼き鳥機があったら面白いと思い、地元の人々と機械の開発に取り組んでもいます。 

 何の為に経営者をしているのか、何の為に会社を経営しているのか、考えることがあります。経営者というのは法的には保護されてはいません。商売をしていくことは大変なことの繰り返しです。けれども、経営者の理念や現実の中で何をしていかなければならないのか、相談や共に勉強できる仲間がいれば、何とかなるものだと思います。気の持ちようで、経営はいかようにもできるものなのです。私は今後も地域の人々と共に真面目に商売をしていきたいと思っています。

《 文章編集 編集部・榎本 》

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