平成十九年度の税制改正は、七月の参議院選挙を念頭に置いたものとなって、増税項目は基本的に先送りされ、減税を前面に出した改正となった。 財政に及ぼす増減収の試算では全体で四千八十億円の減収で、そのうち中心は減価償却の大幅な見直しによる減税四千二十億円となっている。 もっとも減価償却減税といっても、赤字企業にとっては減税効果はなく、主として大規模設備をもつ大企業にとっての減税色が強い。 その他は大きな改正はなく、会社法改正や、信託法改正などの法環境の変化に対する税制面での整備がされている。 また昨年の改正で施行されたオーナー役員への役員給与の損金算入制限は、批判が相次いだことから、基準額を八百万円から千六百万円に引き上げて、対象企業を削減することにした。
有形固定資産の減価償却資産の償却限度額はこれまで取得価額の五%を残すことになっていたが、この残存価額制度を廃止した。
資本金が一億円以下の会社に対して、同族会社の留保金課税制度の対象から除外する。
会社法の成立によって、特定の種類株式に譲渡制限をつけることができるようになり、利用の幅が広がったことから、相続税法上の評価方法を明確化した。
中小企業の事業承継対策として、贈与の特例が拡充された。オーナー経営者が、自社株を後継者である子供(代表者となる場合等に限る)に贈与する場合、相続時清算課税制度の年齢要件を六十歳に引き下げるとともに、非課税枠を二千五百万円から三千万円に引き上げる。 ※ 発行済株式等の総額が二十億円未満の会社が対象。この特例選択後四年経過時点で受贈者が代表者かつ株式等五〇%超の保有者になることが条件となる。
取得後十年を超える事業用の土地、建物等から土地、建物、機械装置等への買換を行った場合、譲渡資産の譲渡益について、原則八〇%相当分について課税の繰延べが可能となる特例措置を二年間延長する。
会社法の施行により平成十九年五月から可能となる三角合併等について、現行の組織再編税制の枠組みに沿って、資産の移転に伴う譲渡損益の課税繰延、被合併法人等の株主における旧株の譲渡損益の課税繰延を可能とする。
上場株式等の配当、及び譲渡益に係る軽減税率(一〇%)は一年延長して廃止する。
特定寄附金を支出した場合に認められる所得控除(寄附金控除)額は、「その年中に支出した特定寄附金の合計額」から5千円を控除した額とされている。この「特定寄附金の合計額」について、現行の算入限度額である「総所得の三〇%相当額」を「総所得の四〇%相当額」に引き上げる。
信託法の改正により、多様な信託方法が選択できるようになった。これに伴い、原則として現行の受益者課税を維持するものの、不当に租税を回避するような場合には、受託者段階で課税を行う等の措置を講ずる。